大判例

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東京地方裁判所 昭和39年(ワ)4579号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕しかして右の事実関係からすれば、訴告が原告との婚姻の届出を拒否し続けたのは被告の責めに帰すべき事由に基かないとの被告の主張を認めることはできない。すなわち原・被告の性生活に当初重大な障害があつたことは疑いなく、しかして、それが原告側の疾患によつてもたらされたものと一応推認できる。しかしながら、同年九月ごろ以降被告は尿道神経症との診断を受けており、この結果については、果して原・被告のいずれに、あるいは双方にその原因が存するかはこれを判定しうるものではなく、同時にそのころより原・被告間の性的交渉における障害も従前に比較し軽快したものと認められる。一般に婚姻生活において夫婦の正常な性的結合の可否が極めて重大な事柄であることは論をまたない。しかしながら、性的結合に障害があるからといつて直ちに、婚姻の解消につき一方当事者に責任がないものとされうるものではなく、その程度およびその他の諸事情をも勘案されるべきものと考えられる。本件の場合原告は初婚とはいえ、すでに三〇代の半を過ぎ、被告は再婚であつて死別した先妻との間に三男二女があり、また手広く菓子の製造販売を事業としているところ、原告は単なる妻である以上に右子らの母とし、また右事業の良き協力者としての立場があつたものであり、また被告も原告に対しこれを期待し、原告はこの期待に良く応えていたものといえる。

こうして、右のような事情にあつては、原・被告夫婦間の性的結合の重要さも一般の場合と同断するわけにいかず、むしろ、他に比しその意義は減少しているものといえる。しかして先にもふれたとおり昭和三四年九月ごろ以降、原・被告間の性的結合における障害は、従前に比し軽快しているものといえ、右の諸事情を考えあわせれば、前記原・被告間の性的交渉における障害は、少なくとも右昭和三四年九月以降においては、これをもつて本件内縁関係の解消につき、被告にその責を帰し得ない事由と解することはできない。(東原清彦)

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